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映画

映画「葛城事件」は附属池田小事件の宅間守がモデルなのか


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『その夜の侍』で監督デビューを果たした赤堀雅秋氏が手がけた映画「葛城事件」が来月公開されます。

念願のマイホームを建て一見理想の家族である葛城家が抱えた闇を描いた本作。

この作品は2001年に実際に起きた大阪の附属池田小事件がベースになっていると言われています。

Contents

葛城事件のあらすじ

親の金物屋を継いだ葛城清(三浦友和)は、美しい妻・伸子(南果歩)との間に二人の子供を授かる。

念願であったマイホームも建て、理想の家族として世間には映っていた葛城家。

しかしいつしか抑圧的な清の存在が家庭を支配するようになる。

幼いころから従順であった長男・保(新井浩文)は会社をリストラされたことをいい出せずに悩む。

堪え性がなく何事も長続きをしない次男・稔(若葉竜也)もまた、ことある事に自分を攻め立てる父親に鬱憤を募らせていた。

暗く重苦しい家庭で、精神を病んでいく子供達。

そうしてついに稔が無差別殺人を起こし死刑囚となった時、家族は崩壊へと向かっていく。

一見理想の家族に見える葛城家が抱えた闇と、その崩壊を軸に描いた作品になるかと思います。

理想の家族が崩壊していくというコンセプト自体は珍しいものではなく、40年ほど前の作品ではありますが曽野綾子さんの「虚構の家」という小説を始め、よく見られる題材です。

しかし今回の葛城事件は、この一家のモデルが存在するということで注目を集めました。

その事件が2001年6月に起きた「附属池田小事件」であると言われています。

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モデルになった池田小学校事件とは

もう15年も前になる事件ですので、10代の人はほとんど記憶にないのかもしれません。

大阪府池田市にある大阪教育大学付属池田小学校に刃物を持った男(宅間守)が侵入し、無差別に小学生8名を殺傷した事件です。

負傷者も多く出て、事件に居合わせた同級生や教員、被害者遺族は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を未だに罹っている人がいると聞きます。

 

またこの事件を機に小中学校の警備体制が変化しました。

外部の人間が校内に立ち入ることを禁止したり、登下校時以外は門扉を閉じるなど。

当時小学生だった私も一時は集団登校が徹底され、今までは登下校時もつけていた名札を校内だけでつけるように指導されたことを覚えています。

事件における被害者児童は全員が救命措置が遅れた故の失血死であったため、学校側の教員に対する指導を見直すきっかけになったとも言われています。

 

葛城事件と附属池田小事件における共通点

さて、今回の映画「葛城事件」は以下のキーワードによって成り立っている作品です。

・一見理想の家庭

・父親の抑圧

・無差別殺傷事件

・精神科病院

・死刑囚

・獄中結婚

・ひきこもり

・自殺

・死刑制度反対

・リストラ

・加害者家族

これらの事柄が、池田小事件の犯人である宅間守の家庭といくつか当てはまるのです。

 

まず宅間守(事件当時37歳、享年40歳)の家は旧薩摩藩の下級武士の家であり、代々そのことを誇りにしていたようです。

法律や警察関係の仕事を行う者も多く、世間的に見ると良い家柄であるとの認識があったのかもしれませんが、父親は家族に対して暴力をふるう厳しい人間であったと言われています。

「自分は薩摩武士だ」「(宅間の男は)真のサムライたれ」と宅間守を教育した姿には、やや時代錯誤を感じます。

そのような家庭で育った宅間守は小学生の頃から弱いものいじめに走る問題児であったようですが、

・高校中退
・定時制へ編入し退学
・自衛隊へ入隊するも1年で除隊
・十数社転職を繰り返したが、数週間~半年で辞職

と何をしても続かない人物であった点が葛城事件における次男・稔とよく似ています。

そして精神科病院へと通っていた点、無差別殺人事件を起こし死刑囚になる点など。

葛城事件で兄・保はリストラされたことを打ち明けられずに悩みますが、最終的に自殺をしてしまうようです。

宅間守にも実兄が居ましたが、弟が死刑囚になったことで心を病み40代前半で自殺をしています。

その際に起業の失敗と偽っていたことから、宅間の実兄も実際に仕事が上手くいかなかったのではないかと考えられます。

また田中麗奈さんは死刑廃止活動家で、稔の家族になろうとしている女性・星野順子を演じます。

実は宅間守も判決後に死刑廃止運動家である女性と出会い、獄中結婚をしています。

最期に宅間が残した言葉は「『ありがとう、と僕が言っていた』と、妻に伝えてください」だったとのことで、罪の意識は全くない非情の罪人であった宅間も、妻には感謝の気持ちを示していたようです。

これらの点から、葛城事件のモデルは附属池田小事件であると考えて間違いないと思います。

当然犯人である宅間の犯した罪は許されるものではありませんが、家族の崩壊は宅間守だけに責任があったのか今でも疑問を呈する人はいます。

今回の「葛城事件」は次男・稔ではなく父の清に焦点があてられていますが、家庭崩壊の発端は父親にあったのではないか、という観点で作られた作品なのではないでしょうか。

「家族という名の地獄」家族に縛られて生きる人たちの人間ドラマはそのような内容になるのか、今から期待ですね。


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